レッジョエミリアのアート・アプローチ
少し前になりますが、イタリーは北にあるレッジョ・エミリア市にあるレッジョ・チルドレン/プレスクール
(Preschools and Infant-toddler Centers-Istituzione of the Municipality of Rejjio Emilia)を訪れました

住宅街にひっそりとたたずむこの施設は、0歳〜未就学児童が先駆的なアートの幼児教育を行う取組で
世界中から多くの研究者が訪れます
最近は日本でもギャラリーなどでも度々紹介され、レッジョ・アプローチを取り入れる幼児施設が
増えてきたことから耳にされたことがあるかもしれません

私もとても興味をもっていたので、視察させていただきました

ホール中ほどにあるカフェ
また、大きなホールには子どもたちの制作した作品が展示されていました(撮影禁止のためご紹介できず残念ですが)
大きな布がねじったり切り裂いたり人間のような何か不思議な色々な形になったものが天井から吊るされて
いたり、ペンで描いたはがきサイズのドローイングや、赤土色のセラミック作品などなど・・・
たくさんの作品が美術館のように美しく展示されています

「光と影」のアプローチでは、プロジェクターやパソコンで壁に映像を映し出す遊びや
光のチューブやプラスティックの素材、

「ナチュラル・マテリアル」では、いろいろな自然の素材砂・石・ドライの果物や野菜などなど
他には様々な素材でできたリボン・コード・ヒモ・糸など
こういった豊富な素材は地域の住民や保護者が協力して定期的に集め、常にそこにあるように
準備されているとのことです
できるだけたくさんの豊富な素材に触れ、インスピレーションを刺激し、その中からイマジネーション
を引出し、できたものは指導者が「具体的な何か名前」を問うのではなく、子どもたちの自然な
欲求から生まれた何かを肯定するというプロセス自体をとても重要視しています

指導者や教育関係者のカリキュラム研究会やミーティングも頻繁に行われ、市民美術館では
その成果を展示するプロジェクトも度々開催されています
何より「地域全体で」アートに触れ教育に取り組んでいく試みが、
長い年月を通してゆっくりと育まれ、ドキュメンテーションをして記録・保存されている
地道な取り組みに心から共感しました
もしかすると、「アート」というと何か「芸術」や有名な作家の「作品」というイメージが
あるかもしれません
でももう少し身近に考えてみると
アートは、日常の中で生まれる「発見」または、「コミュニケーション」または
「わくわくするような「学びと遊び」「驚き」何ともいえないような「不思議」
そして、他者と自分、自然と科学、自国と外国をつなぐ「言葉」
・・・いろいろな可能性が生まれているような気がします
レッジョ・チルドレンのこれらの取り組みは、街の大きな遺産であり、将来を担う子供たちにとって
学び育つ街への誇りと愛着となるのであろうと思いました

Y.N